【概要】
1.はじめに:
・若月さん、松島さん、清水さんをはじめ、皆さんのお陰で、こんなにも豊かな環境で生活できていることへの一住民・患者としての感謝の気持ちをどう表せばいいのかなー?
住民・患者として再構築に何か少しでもお役にたてることはないのかなー?
・という気持ちでいたときに、北澤さんが、佐久穂町の「茂来館」で、「医療崩壊はここまで来ている - 佐久地域も例外ではない -」というお話を熱く語られました。そして、お話の最後に、「何とか現状の医療崩壊を皆で食い止め、安心して暮せる地域であり続けられるように皆様のご協力をお願い致します。」と訴えかけられました。
・そこで、私たち住民・患者の立場から、「みんなで明日の地域医療を創る」ために、何か少しでもお役に立てることはないかなー、と考えて、
というものを、まず立ち上げてみることにしました。
・そして、佐久病院の研究会に参加させて頂いて、様子を伺い、勉強することにしました。
・研究会の中では、これまでの佐久総合病院の諸活動とその体験の深さ、あらためて深い感銘を受けるとと共に、多くの学びを頂きました。
・一方では、地域における1次産業、2次産業、3次産業、(6次産業)などの議論のように、経済的価値に換算して、根拠をもとめていくことの必要性の議論があることも知りました。
2.小さな気づき:
・最終章の8.9節 「むすび:調和ある発展に向けて」
ドイツのフライブルグ大学、フランケン教授(当時の経済学部長、ハイエクの葬儀委員長)とシュヴァルツバルト(黒い森)を歩いているときに、
「ハイエクに学んだことで最も印象に残っていることは何ですか?」
(長い沈黙、しばらく遠くに目をやりながら、長く考え込まれていたが、)
「人は教えられたように、ものごとを見る、ものごとが在る、と思っている。」
・「小さな気づき」を大切に、
自分のまわりの現実、直接経験、事象そのものを観察してみよう、
自分自身で考えてみよう、
また、オリジンにふれてみよう、
そして、自分自身を振り返ってみよう。
・(佐久総合病院の諸活動・体験流に醸し出された地、地域医療・農村医学のオリジンンの地である)南佐久にあこがれて、I ターン(アイ・ターン)をして、およそ5年。この「小さな気づき」の活動を進めてきました。
・そして、住民の方々、佐久総合病院の方々の諸活動・体験流の深さ・豊かさをあらためて実感させて頂き、I ターンしてきて、本当に良かったなー、と。
・そして、この佐久総合病院の諸活動・体験流にこそ価値があると確信するようになってきました。
でも、それを、やはり、経済効果などで説明しないと納得されない方々もおられるとすると、どうすればいいのかなー?
3.時代のキーワード、エクスペリエンス・体験、体験経済・経験経済;
・魅力あるこの地、この地の体験流の中に身をゆだねたいと思った I ターン者 1名: 数億円の経済効果
・コモディティ化してきている産業・サービス業の最近のビジネス動向の中に、以下のような話題があります。
・エクスペリエンスにこそ経済価値がある: 経験経済、経験価値マネジメント:
ビジネスの世界、経済の世界で、「エクスペリエンス」はどのように捉えられているのでしょうか?
米国認知科学学会の創設者であり、現在話題のiPhoneを生み出したアップル社のエクスペリエンス・アーキテクトを創出したドナルド A. ノーマンがユーザ・エクスペリエンスの重要性を説き、1996年に、Lauralee Albenが、ACM interactions にQuality of Experience を発表した頃から、Experience の用語は、段々とビジネスの世界でも注目されるようになってきました。
また、すでに実世界での各種のテーマパークや企業のショウケースなどにおいてもエクスペリエンスという言葉が注目されていました。
これらの動きをうけて、1999年には、B.J.パイン、J.H.ギルモアが、脱コモディティ化のマーケティング戦略として「経験経済(The Experience Economy)」をあらわし、工業経済からサービス中心のサービス経済へ、そして経験経済へシフトしなければならないと述べて注目をあびました。
また、同じ1999年に、バーンド・H・シュミットは、「経験価値マーケティング(Experimental Marketing)」をあらわし、2003年には、「経験価値マネジメント(Customer Experience Management)」をあらわし、マーケティングは製品からエクスペリエンスへ、と主張しました。
・若月さん、松島さん、清水さんをはじめ、佐久総合病院の皆さんが、これまでおこなわれてきた諸活動・体験流は、まさに、この時代の流れを、50年も前から、「農民とともに」、先取りされていたと思いました。
しかも、上述の動きの中には、地域、住民、健康、文化...などの総合的な経験経済の視点は、まだまだ陽には現れてきていません。
そして、佐久総合病院の諸活動・体験流は、「生きる」、「生き生きとくらす」ということが底流を流れています。このような考えも、まだ上述の動きの中には少ないと思われます。
・どうしても、経済的視点での説明が必要な場合には、今回の「佐久総合病院の再構築」に合わせて、例えば、「現在言われている経験経済」を超えた、「地域社会・地域住民のための新しい経験経済の創出」活動である、ということもできるような気がしてまいりました。
・皆さん方が、およそ半世紀前に進められてきた諸活動・体験流の、21世紀のルネッサンスのような感じもしてきております。
4.むすび:
・「分けることから始まった近代化」が生み出した諸問題
・色平さんの記事からのお話:「金持ちより心待ち」の人:
「相棒」抜きに、色平さんを理解することはできない。
バングラデシュ出身の医師スマナ・バルア(愛称バブ)さんのことだ。
京大時代に訪れたレイテ島でバブさんに出会った。
フィリピン国立大レイテ校で医学生をしていた彼は助産師・看護師の資格をもち、村で出産を手伝ったり、衛生指導をしたりしていた。
「頭をガツンとやられた」。(以下、略)
・ハイエクは、「適切な社会秩序という問題はこんにち、経済学、法律学、政治学、社会学、および倫理学といった様々な角度から研究されているが、この問題は全体として捉えた場合にのみ、うまくアプローチできる問題である」、また、「ハイエクにとって、主要問題は、どんな人もその一部しか把握できないある複雑な環境の中で、どう行動するかを知ることである」と言われている。(前出:「電子社会のパラダイム: 8.8節:総合知に向けた思考のツール類)
・建物の再構築、内面の再構築、経験価値の再構築、.......そして各人の再構築、.....
・食の安全・安心、地産地消、食育、健康、福祉、地域医療、地域活動、文化活動、ネットワーク....
バリューチェーンの再構築のキーが佐久総合病院の諸活動、体験流
・21世紀を生きる
・ひとりの住民・患者として、少しでも何かのお役に立てれば幸いです。